読書で得た気付き
【書評】ユニクロvsしまむら – 専門店2大巨頭圧勝の方程式

8月 17th
2009年2月18日付のForbes誌に掲載された「日本の富豪40人」。保有資産61億米ドル(約5700億円)で首位に立ったのが、現在絶好調のUNIQLOを統率する株式会社ファーストリテイリング代表取締役会長兼社長の柳井正氏です。今をときめくファストファッション市場の一翼を担うユニクロと、郊外型店舗で確実に売上を確保し続けるしまむらの2社を追いかけて「強さの源泉」を分析することで、市場変化とそれに伴う小売業の変遷、そして企業独自の技術革新・価値創造などに関する示唆を得ることができます。完全自社流通手配・商品製造vs完全アウトソーシング、店舗主導vs本部主導など2社のビジネスアプローチや方法論は全くもって対照的ですが、共通項として挙げられるのが徹底したコスト管理。環境変化に動じない強靭な企業体質へと磨き上げるこだわりを2社からは感じました。欲を言えば、しまむらに関しては「ちょっとダサい」印象を持たれているにも関わらず、どうして数千億規模のビジネスに成長し得たのか、という所を掘り下げていってほしかったですね。しかしながら、「消費ニーズの多様化」「ブランド志向」「財布の紐が堅い」などという外部の雑音に迎合することなく本当に消費者が求める価値とは何かということを見据えた上で、これからの流通業の未来を占う上で参考になる1冊だと思います。 More >
【書評】『マイクロソフトでは出会えなかった天職』

7月 3rd
これは最近出版された本の中での名著の1つかなぁと思います。30代にしてMicrosoftで年収ウン千万円の報酬を得ながら、自分の夢を徹底的に追い掛けるためにその座を捨て、貧困国の子どもたちの教育環境を如実に向上させていくJohn Wood氏。彼が言いたいのは、「夢を持て」という単純なことではなく「夢を追いかける覚悟を持て」ということではないでしょうか。人間だれしも夢は持っているはずです。メジャーリーガーになりたい、ワールドクラスの学者になりたい、世界を股にかける起業家になりたい、世界の環境問題を解決する技術を創りたい…そういう夢を皆何かしら持っているはずなのに、何故か叶えられるのはごく一部の人だけ。才能や環境のせいにするのは簡単ですが、本当に成功した人・夢を叶えた人は、周りの雑音をシャットダウンし、揺るぎない決意と固い信念を持ち我が道を歩んでいるのです。時に自分が選んだ道を進むことにためらうこともありますが、大きなビジョンを掲げ、覚悟を持って生きていくその力が大切なのだとこの本を読んで改めて実感しました。自分自身生まれながらにして恵まれた環境にいる幸せを再確認しましたし、初等教育の持つ力の大きさをまざまざと実感しました。またさすがMicrosoft出身だけあって、起業論・組織運営論としても非常に充実した1冊だったと思います。 More >
【書評】『ポップコーンはいかがですか?』

6月 7th
「今後すごく役に立つ情報があるよ。何を勉強しないと成功できないのかがわかる。」
こう薦められ手に取ったのがこの『ポップコーンはいかがですか?』でした。著者は、海外諸国の波風に翻弄されながら、一文無しの状態から己の人生を見つめて”夢”の実現に文字通り体当たりで臨み、30歳の若さでVirgin Cinemas Japanをたった1人で立ち上げた山本マーク豪という方です。設立してわずか5年半で事業を軌道に乗せ、全国10ヵ所でシネマコンプレックスを展開、最終的には2003年に東宝に会社ごと100億円で売却しました。
彼の尊敬すべき所は、まず夢を明確に抱いており、その夢を果たすためのロードマップを着実に自分の手で作り上げている、という点です。先見性と言えば聞こえは良いですが、何かを予測するためには現在の状況・過去のデータを綿密に分析しなければならず、その作業を怠らなかったことで彼は未来を見据えた経営戦略を立案することができたわけです。映画業界特有のゴシップや内輪イベントに時間を無駄にせず、業界紙より経済紙の購読に時間を割き、様々な要因が自社事業に影響を及ぼすので、国際情勢や世界経済、為替相場などマクロ的な経済動向などに目を光らせることを欠かしていませんでした。 More >
【書評】『現代の二都物語 : なぜシリコンバレーは復活し、ボストン・ルート128は沈んだか』

6月 5th
「Silicon Valleyはなぜ今もSilicon Valleyたり得ているのか?」-この問いを通史的に比較考察したのがこの書籍です。著者AnnaLee Saxenian教授はU.C.BerkeleyのSchool of Information学部長で、著作『The New Argonauts: Regional Advantage in the Global Economy 』を通じて”Brain Circulation”(頭脳還流)を唱えた著名な経済地理学者です。何を隠そう、自分がStanfordと同時にU.C.Berkeleyに出願した時、エッセイで「この人の下で学びたいです」と書いたのがこのSaxenian教授でした。
中国やインド、台湾、シンガポール、イスラエルなどから主に大学院学位取得のために米国に移住した人々が、工学系専門教育を受けた後に米国労働市場内(例:Silicon Valley)で経験値を蓄積し、自国に戻って起業・技術開発などを主体的に手掛け自国経済の活性化に寄与すること。優秀な人材が国外に出ることを嫌い、表層的で一貫性の無い政治解決・長期的ビジョンの無い教育システムのせいで国際競争力の低い日本にとっては死活問題。
【書評】『Google誕生 ガレージで生まれたサーチ・モンスター』

5月 15th
Google。もはやインフラ化してしまった感のある検索エンジン。恐らく100年後の世界史の教科書にはこの企業の名前が載っているはずです。
「この情報を知りたい」という我々の欲望をいとも簡単に提供してくれるGoogleのスタートアップから株式公開までの歴史に焦点を絞って、本書を読みました。
『世界中の情報を整理し、世界中の人々がアクセスできて使えるようにする』という設立当初からの使命を愚直なまでに追求し、自分たちが正しいと信じる道を貫くことの厳しさ・楽しさ・尊さ全てがこの本の中に詰まっていました。
このGoogleの成功は、「他を寄せ付けない圧倒的な技術優位性」「ビジネスモデル」「シリコンバレーの開放的かつ柔軟な協力文化」、そして「運」だと自分なりに分析しています。
Sergey BrinとLarry Pageの2人がStanfordのキャンパスで出会う奇跡から始まり、「検索」という行為が事業として成立可能だと気付かずイマイチの検索エンジンを提供していた競合他社の存在、その比較対象としてのGoogleの登場、ITバブルが弾け切った後の加速的普及、Danny Sullivanとの継続的な関係、Eric Schmidtとの邂逅、例を挙げればキリがありませんが、Googleは神に祝福されているとしか思えないのは自分だけではないでしょう。 More >

