現在のインターネットを支えるデータベースは、属性としての個人の名前や住所などの記入項目が必要で、1つの項目に1つの値を入れて整理する構造データベース(Relational Database)が主流です。それでは新たな属性が膨大に登場した場合や微妙な環境変化によって様々に値が変わってしまい構造化し切れない場合に大変な労力を費す必要があり、そもそもStructured Architecture思想に基づき設計された現在の構造データベースが、そうした言わば「人間的」な問題を100%処理できる日が来るとは到底思えません。そこで解決策の1つとして目されるのが、IFX理論です。


米VCのDefta Partners会長原丈二氏が著書『21世紀の国富論』『新しい資本主義』で仰るには、ポストコンピュータ時代の姿としてPUC(Pervasive Ubiquitous Communication)というコミュニケーションに基づいた次世代のアーキテクチャが登場すべきとのこと。従来のコンピュータは計算機能中心主義の設計思想に基づいて作られており、ネットワークやコミュニケーションを主眼として構築されたものではないため人間が機械に合わせなければなりません。基本の設計思想が変わらない限り、本質的な使いやすさを手に入れることはできないのです。これとは異なり、計算機能でなくコミュニケーション機能重視の設計思想の下で機械が人間に合わせるのがPUCであり、このPUCこそ次世代の基幹産業として、ソフトウェア一辺倒のアメリカではなく製造業に強く高度な知的財産を築き上げるインフラ基盤を有する日本がハードウェアとソフトウェアの統合を成し遂げ諸外国をリードすべきだと述べています。

このPUCを支える新しい技術として、
・次世代通信デジタル信号処理プロセッサ(cDSP)
・組み込み型ソフトウェア(EmS)
・ネットワーク・セキュリティ(NWS)
・ピア・トゥ・ピア型ネットワーク(PtoP)
・ソフトウェア・スイッチング(SoSW)
・デジタル・ディスプレイ・コントローラ(DDC)
を挙げており、原氏は超広範囲ネスト型ネットワークであるP2Pに適したデータベース理論として、IFX理論に注目しています。

IFX(Index Fabric)理論は、Patricia trieと呼ばれる既存の検索アルゴリズムをベースにしつつ、半構造型データベース・非構造型データベースに対応させ、より高性能・高柔軟性を実現させるための様々な革新的なアイデアが盛り込まれた新理論です。その利点として挙げられるのを簡単にまとめると、
・データスキームに関する先験的知識が必要ない
・データ構造が変化的・不規則でも高い性能
・同じインデックスでも複雑かつ多種多様なアクセス回路に沿って検索要求を高速化できる
という点です。これは2001年9月、Brian F. Cooper、Neal Sample、Michael J. Franklin、Gisli R. Hjaltason、Moshe Shadmonの5名がVLDB(Very Large DataBase)学会で発表し、StanfordやMITのコンピュータサイエンティスト、OracleやIBMなどのデータベース専門家をも驚愕させたと言われています(A Fast Index for Semistructured Data(PDF:10ページ))。

IFX理論が開拓する未来の可能性は実に多様で、現在のデータベースという概念自体を変えてしまう可能性だって大いにあります。あくまで次世代技術の萌芽でしかないのが現段階ですが、本当の意味で国境なきコミュニケーションを実現させるためにも、諸外国に対して英語コンプレックスを抱くことなく、率先して既存技術をぶち壊す新技術の先導役として日本が躍進して欲しいと心から思います。