Yahoo!JAPANの検索エンジンがBingになるとのこと(7月29日 Internet Impressより)。Yahoo!がMicrosoftと提携し、Microsoftが開発した検索エンジンBingを採用すると発表したことを受け、Yahoo!幹部は7月30日に「Yahoo!JAPANの検索エンジンにもBingを採用する可能性が高い」とコメントし、YST(Yahoo! Search Technology)の開発は終了する可能性が高いです。検索連動広告に関しても、Yahoo!子会社のovertureからMicrosoftのプラットフォーム採用(広告入札システムAdCenterやBingの広告プラットフォームの導入)を検討しているということです。両社は「この提携によって両社の技術面での交流が進み、さらなるイノベーションが期待できる」と考えていますが、本当にGoogleに大打撃を与えられるほどの検索エンジン利用シェアを獲得できるか否かは正直分かりません。しかしながら、市場占有率格差はあれど、オンライン広告の世界はGoogle AdWords vs. Microsoft AdCenter、Google AdSense vs. Microsoft PubCenterという2大勢力が市場のほとんどを握ったと言って良いでしょう。


Microsoftにとっては、Search MonkeyやYahoo!BossなどのYahoo!の主要検索技術を開発プラットフォームに載せて自社製品に組み込むことができ(MicrosoftはYahoo!の検索技術の10年間の独占ライセンスを取得)、検索エンジン市場でGoogleと戦う姿勢を維持できる目処(“勝てる目処”ではありません)はついたように思います。実際、Microsoft CEOのSteve Ballmerは、Bingを以て検索シェア2位の地位を5年以内に築きたいと明言しています。さらにWindowsのアップデートやOffice製品の販売に依存していた旧体質からの脱却も見込めるはずです。

Yahoo!の直営及び関連サイトで発生したトラフィックに関して、Yahoo!・Microsoft両社は売り上げを分け合い、MicrosoftはYahoo!にトラフィック獲得コスト(TAC:Traffic Acquisition Cost)を支払います。最初の5年間はYahoo!傘下のサイトで発生した売上高の88%を支払い、MicrosoftはYahoo!傘下のサイトの検索1件当たり売上高を各国で最初の18カ月間保証することになりました。この提携により、Yahoo!は年間およそ5億ドルの営業利益を得るほか、設備投資を2億ドル節約できる。年間約2億7500万ドルの営業キャッシュフローも得ます。しかしながら検索エンジン市場で大きな譲歩をしたYahoo!に対して、株主はやはり失望感を顕わにしています。一言で言うと、検索エンジン市場からの退場、ということになり、さらにYahoo!既存社員がMicrosoft帝国繁栄のために汗水たらして働くようになるかは疑問符がつきますし、今後も社内混乱が続くと思われます。しかしYahoo!Japanは独自性の高い日本市場において今だにトッププレイヤーとして活躍しており、Googleにすぐ後ろまで迫られているもの検索エンジンとしての利用率は高く、ヤフオクでオークション市場を牛耳るなど良質のビジネスモデルを有しているので、今回の提携に関して海外諸国に比べて影響は少ないと考えられるでしょう。

欧米やアジアをはじめ世界諸国における検索エンジン利用率でGoogleが独走状態で、ランチェスター戦略的にも「独占的寡占型」(上限目標値73.9%)以上の存在となっている中、この2番手・3番手のタッグ結成がトップを脅かす存在になるのか、はたまた弱者同士が提携したと評価されることになるか、今後リーダーシップを取っていくMicrosoftの打つ手が気になる所です。技術的高評価のBingとMicrosoftブランドを活かし、万能型検索エンジンとの対立軸を見出すために個別機能特化や対象地域・年齢によるターゲッティングを行う、従来の検索エンジンの「見せ方」とは異なるアプローチで新たな市場を作り出すなど、様々な追撃戦略が考えられるので、今後の一手に注目しなければなりません。